empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

ポピュリズム

自分が社会の中で抑圧されていると思い、その社会への不満が政治的立場につながるという現象は従来は主に左派の立場だったと思いますが、近年は右派にもこうした立場が目立つように思います。

もっとも、右派の場合はその不満の対象も右派的なので、リベラルのエリート層が自分たち庶民を見下しているとかそういう感じになるようです。まぁ左派は左派で保守的な体制のせいで自分たちが抑圧されていると思ってるわけですが。

こうした人々の不満を吸い上げて、社会の「エリート」とされる人々を非難することでカリスマ的指導者が支持を集めるのがポピュリズム(大衆迎合主義)だとされてます。*1

 

アメリカのトランプなどはこうした右派の不満をテコにして大きな勢力を持つようになりましたが、こうした不満にもとづく政治というのはしばしば破壊的な結果をもたらすものだと思います。言ったらかつての社会主義の体制やファシズムの体制もそうして出来たようなものですし。

アメリカでもすでにトランプ支持者による議会襲撃事件が起こってますし、社会の分断が進み将来は内戦になるかもしれないと懸念する人もいます。そして仮に分断が進まないとしたら権威主義に近づくだろうと思います。

 

トランプ支持者の間では陰謀論フェイクニュースも無視できない存在ですが、その不満自体は全然根拠がないというわけではなくて、こうした人々は経済的な発展から取り残されてきたとか、マイノリティの権利が昔より向上してきた一方でこうした人々はその恩恵を受けられなかったとかいうことはよく言われます。マイノリティと比べてどうかはともかく、その人々もまた不遇なことには違いないでしょう。元々アメリカは格差が激しい国なので、そこも背景にあると思われます。

日本も、アメリカほどではないにしても昔に比べると格差が広がってますし、アメリカで起こっていることは他人事ではないと考えます。

 

とはいえ、不満の理由があるからといってその政治の動きが正当化されるとしたら、かつての社会主義体制も抑圧されてきた民衆によって出来たものだから正当化されるということにもなるでしょう。

なので、こうしたポピュリズムの背景にある不満を解消するようにしつつ、その動きによる破壊的な結果を防ぐことが必要だと思います。

 

しかしどうしたらそれができるかと言ったら私は素人なので確たることは言えませんが、一つにはやはり経済的な問題があるので行き過ぎた格差を是正して経済的な恩恵が行き渡るようにすることが必要だろうと思います。もっとも、国の経済自体が縮小していると再分配も難しいので、そもそもの経済対策も必要ですが。

 

また何でも市場原理で淘汰するに任せるのではなく、ある程度国内の産業を保護するとか、伝統的な社会を擁護するとかいうことも必要でしょう。

 

また制度的な面から言えば、もしポピュリズム政治家が政権を取っても対立する勢力への弾圧によって相手が機能不全に陥る事態を防ぐことが必要だと思います。

かつて存在した左右の全体主義体制は対立する政治勢力の存在を許さず政敵を排除することで権力を独占しましたし、そこまで行かなくても中国やロシアのように政権に対立する勢力が弾圧されてまともに機能しないようだと権威主義体制になります。

 

またかつてのナチスのように憲法を停止して独裁体制を敷くことがないように、あくまでも特定の個人や特定の政党による統治ではなく法の支配としての立憲主義を擁護することが必要だと思います。

 

左派のポピュリズムについて言えば、トランプのような右派ポピュリズムが手堅い支持を得ているのは、その支持層が曲がりなりにも多数派に属していて同質性が高い集団だからで、左派が(あるいはリベラルが)ポピュリズムを取り入れようとしても活用は難しいだろうと思います。仮に活用できたとしても良い結果を得ることは難しいでしょう。

元々ポピュリズム自体が危うい手法だとも思いますし、自分としてはもっと堅実なところを基調にしたほうがいいと思います。

*1:

ポピュリズム(ぽぴゅりずむ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポピュリズム」の意味・わかりやすい解説

ポピュリズム

populism

1892年に結党されたアメリカ合衆国の人民党,通称「ポピュリスト党」を通じて広まったことば。20世紀以降も,アルゼンチンのペロン体制,中国の毛沢東主義アメリカのマッカーシズム,西ヨーロッパ諸国の極右政党など,多種多様な政治運動と現象がポピュリズムのうちに数えられてきた。アメリカではポジティブな意味合いに,ファシズムを経験したヨーロッパ諸国などではネガティブに用いられる。一般的には,(1) 政治・経済・文化エリートに対する異議申し立て,(2) 主権者として代表されていない「人々(people)」の掲揚,(3) カリスマ的な指導者による扇動,などを特徴にしている。ポピュリズムは非民主主義的で,ファシズムや独裁主義に近いとされることもあるが,イデオロギー的な体系をもっているわけではなく,三権分立や官僚機構など,自由主義的なエリート支配が人民の意思を歪曲していることを批判する。既存の利益団体や職能団体に包摂されておらず,政治的に正当に代表されていないと感じている層(農民や単純労働者など)の不満を吸い上げ,既得権益層や過度に保護されているとされるマイノリティを非難することで動員をはかることを特徴にしており,ここから反エスタブリッシュメント,非主流派の政治と呼称されることもある。

治安

日本の良いところの一つには世界の中でも比較的治安がいいということがあります。

統計に現れない暗数もあるので一概には言えませんが、それでも比較的治安がいいほうだとは思います。

 

しかし当然のことですが、治安がよくて犯罪が少ないということは、犯罪が「無い」ということではありませんし、また誰にとっても安全だとか、どんな局面でも安全だとかいうことでもありません。

比較的少なくても犯罪はありますし、実際に犯罪に遭った人からしたらそれが大きな問題であることには違いないはずです。

 

あまり治安の良さを自明視しすぎると、誰かが犯罪に遭った時に、それは被害者に落ち度があったからではないかとか、犯人は日本人ではなく外国人ではないかとか根拠なく邪推することにもなりかねませんし、また自分でも警戒するべき局面で警戒が足りずに犯罪に遭いやすくなるとかいう可能性もあるので、そこはやはり差し引いて考えるべきでしょう。

 

また他国のことでも、例えばアメリカでは人種差別が根強い問題であることが知られています。

それはそうですが、だからといってアメリカ人はみんな差別主義者であるはずだと決めてかかるとしたら、それ自体が一つの差別であり偏見だと言うべきでしょう。

実際差別はありますからアメリカに行くならそこは警戒する必要はあるでしょうが、だからアメリカ人は差別するはずだと決めつけるならそれもまた正しくないということです。

 

日本にしても、差別は間違いなくありますが、だから日本人がみんな差別主義者かといったら無論そうではないので、まぁそういうことでしょう。

無題

このブログでは今まで能登半島地震について言及しませんでしたが、一応言うとそれは震災に無関心だからではなくて、単に私の立場からは特に言えることもないだろうと思ったからです。被災者の無事と現地の復興を祈る気持ちはあります。

 

というか、世の中に起こってくる色々な時事問題について、それぞれについて適当な(と自分で思えるような)ことを述べるのは私には荷が重いというのが正直なところです。自分がよく知らないような事柄についてはなおさらそうです。なので、ここで取り上げる問題は気まぐれな内容になってると思います。

政治家なら多分こうした時事問題についてコメントを出さないと批判されるでしょうしそこは大変だなと思いますが。