また読書感想文を書きたいと思います。
今回はこちら。
「あさきゆめみし」
この「あさきゆめみし」は、言わずと知れた日本の古典文学「源氏物語」をほぼ原作に忠実に漫画化したものだそうです。
昔の少女漫画風な絵柄(ベルばらみたいな絵柄)なので平安時代の美的感覚とはミスマッチな気もしますが仕方ないね。
私も原作(小説版)は読んだことがありませんが、この漫画で源氏物語の内容を知りました。
ところで、先日ドナルド・キーン氏が亡くなりましたが、キーン氏が日本文学の研究を始めたのは、英訳された源氏物語を読んでその「繊細な美の世界」に感銘を受けたためだったとか。「繊細な美の世界」…そう、確かに私もそんな印象を受けました。
主人公の光源氏は大変モテる男ですが、彼の細やかな心遣いや、一度愛した相手には義理を尽くす態度などを見ていると、これならモテるのも納得だな…と思わせるものがあります。
彼の恋人や友人たちのエピソードも様々で、読んでみれば、誰か一人は共感できるキャラがいるんじゃないでしょうか?
紫の上の心の迷いとか、昔を思い出して哀しむところとか、空蝉(うつせみ)のエピソードとかね…あと末摘花(すえつむはな)も、後で出てきた時の展開は泣けた。
それにしても六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)がだんだんパワーアップしてくるのはすげーなと思いましたね…
あと平安京(今の京都市)から須磨(今の兵庫県南部)に行くと、もう地元の人とは言葉も通じなくて半分外国のような扱いになっていたり、海での神事とか僧侶の予言とか、当時の文化状況がかいま見えるところも面白いですね。
私は源氏が自分の子供に語った恋愛観が印象的でした。うろ覚えですが、こんな台詞でした。
「…恋とは人の心の奥底からわき上がってくるものだ。
売ったり買ったりするのは恋じゃない。
(子供に向かって)誰よりもいとしいと想い…
相手のほうでも自分を想ってくれる相手を選ぶんだよ。
そうでなければ恋は決してよろこびではないし…
胸にしみるあわれでもない…」
さすが源氏さんやでぇ…
私は、性格が近いせいか女三の宮さんにえらく感情移入してしまいましたね…。柏木てめぇコラァ!なんてことしてくれてんだコラァ!!
後編の「宇治十帖(うじじゅうじょう)」編は作風が変わってる気もしますが、wikiなど見てみますと宇治十帖編は紫式部ではなく別の人が後から書いたのでは?という説があるそうです。でも宇治十帖編も面白いですよ。
「さむしろに 衣かたしき 今宵もや
我を待つらむ 宇治の橋姫」
って歌がよかったです。まぁこれは源氏物語オリジナルの歌ではなく、古今和歌集からの引用らしいですが、平安時代にも、過去の和歌を引用するのが教養ある人のたしなみだったんでしょうね。