empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。あと読書感想文とか。

「通名報道」は実在するか

主にインターネット上でですが、「在日韓国朝鮮人(以下、在日)は犯罪を犯しても本名で報道されず、通名(日本人名)で報道される『通名報道』で守られている。これは在日の特権であり、不当な日本人差別だ」という声があります。

この「通名報道」が事実なのかどうかよく分からないのですが、これが事実だということを前提として、何か凶悪犯罪が起こったり、スキャンダラスな事件が起こるたび、「実は犯人/容疑者は日本人ではなく在日」だという、いわゆる「在日認定」が行われるのが、ネット上では恒例行事になっています。
そしてさらにこれを前提にして「日本の犯罪のほとんどは在日によるものだ」ということになり、さらにそこから「在日は犯罪ばかり犯している。在日を見たら犯罪者と思え」ということになっているようです。全てとは言いませんが、ネット上の一部ではこれが当然の前提として扱われています。

しかし、この「通名報道」は実際に行われているのでしょうか?
もし「在日の犯罪には通名報道しなければならない」という規制がメディアにかけられているならそれは問題でしょうが、「これこれこのような法令、条例によって通名報道がなされている」という指摘を私は聞いたことがありません。
またもし通名報道するか否かは各メディアの判断次第なのだとしたら、在日はそれによって守られていることにはならないでしょう。なぜなら、必ず通名報道されるという保障もないし、一つのメディアでされても他のメディアではされないであろうからです。

この件については結構前から気になっていたのですが、なにせ在日が容疑者となる事件の報道をほとんど聞かない(そもそも外国人の犯罪の報道をほとんど聞かない)ので、長い間よく分からないままでした。人口比を考えれば自然なことではありますが。
しかしこの間、在日と思しき講談社の次長が容疑者となる事件があったので、少しこれについて調べてみました。(この事件については、私が見た時点では容疑が確定しているわけではなく容疑者は容疑を否認していましたし、その後の報道も追っていないのでその後どうなったのか知りませんが)

この事件を各新聞社の報道で見てみますと、見た限り全てのメディアで本名らしき韓国名で報道されていました。少なくとも、この事件では通名報道されていないようです。(この人物が在日韓国人なのか日本で就職した普通の韓国人なのかははっきり分かりませんでしたが、京都の大学を卒業していることや報道で「韓国人」ではなく「韓国籍」とされていることから在日であろうと思われます)
↓★毎日

↓★産経

↓★日経

↓★読売

↓★朝日

しかしこれだけではよく分からないので、さらに調べてみたら、2007年に起こった在日の犯罪の事件を取り上げたページを見つけました。さすがに昔の事件なので、当の新聞記事自体は見つけられませんでしたが、そこに引用されていた記事からすると、朝日新聞は最初、この事件を本名で報道していたものの、30分後の報道では通名で報道していたとのことでした。そして産経新聞毎日新聞では、本名で報道していたとのことでした。これが「通名報道」の実物のようです。
↓★毎日

↓★産経

↓★朝日

この記事の書き手はこれをもって朝日新聞の報道が偏向していると怒っていましたが、朝日が通名で報道し、産経と毎日は本名で報道していたということは、やはり「通名報道」とは全メディアに一律に課せられた規制なのではなく、各メディアの報道方針の問題のようです。

朝日がなぜこのような報道をしたのかははっきりわかりません。あるいは「朝日は韓国を擁護するためにこのような報道をしているのだ」という声もあるかもしれませんが、靖国神社のトイレ爆発音事件では、朝日も他のメディアも犯人を韓国人だと述べています。
↓★産経

↓★朝日

↓★日経

↓★毎日

またすでに見たとおり、講談社次長の事件では、朝日も他のメディアも本名で報道しています。

この件については、通名報道されるのは「通名で生活している在日は、普段から就職も近所付き合いも、社会生活の全てを通名で行っているので、本名で報道されても他の人はそれが誰のことなのかわからない」からだという意見もあります。(そうだとすると、通名報道は容疑者を守るものではなく、むしろ逆だということになりますが)あるいは朝日もそういう考えなのかもしれません。そうだとすれば、最初は本名で報道しておきながら30分後に通名で報道したのも納得できます。本名を隠すつもりなら、最初から本名で報道はしないだろうとも思えますし。
あるいは朝日は、犯罪が特定の国に対する敵意に結びつくのを避けるために、国籍を強調しない方針なのかもしれません。そうだとすれば、講談社次長の事件で、朝日が明らかに日本人名ではない本名を報道しておきながら、あえて国籍を書いていないのも納得できます。

いずれにせよ、「通名報道」とは、実在はするものの、実際に行われるかどうかはその時のメディアの判断次第のものであるようです。