empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

ヘイトスピーチと言論の自由

ヘイトスピーチとは一般にマイノリティーを差別、憎悪するような言説を言います。日本で言えば「朝鮮人は殺せ」「中国人は日本から出て行け」といったような言説がよく聞くものです。

世界的にヘイトスピーチは規制されていますが、言論の自由との兼ね合いもあるので、どのような基準でどの程度規制するのかという問題があります。正当な批判や議論までも禁じられないようにしなければならないというわけです。
とはいえ、ヘイトスピーチを規制すること自体は前提としてあります。

しかしながら、ヘイトスピーチの規制自体が言論の自由の侵害だという声が(主にヘイトスピーチをしている人々から)出されることがあります。つまりヘイトスピーチは自由に許されるべきだ、それが言論の自由だと言っているわけです。

このような声に対しては、言論の自由とは何を言っても許される無制限な自由ではない、と言うべきでしょう。言論の自由に限らないことですが、自由とは他人の権利を侵害しない限りで許されるものです。そうやってお互いの権利が守られるから「公共の福祉」が成り立つわけです。大抵の人は学校で習ったと思いますが、社会の基本とはそういうものでした。

ヘイトスピーチが問題として取り上げられる以前から、名誉毀損、詐欺、犯罪教唆、脅迫などは罪とされてきたことは言うまでもありません。これらの行為は言論の自由とはみなされません。それはこれらが他人を傷つけ他人の権利を侵害する行為だからです。

しかしこれらの罪は「個人」に対して行われることを想定しているので、「集団」に対して行われるヘイトスピーチは想定外だった(なので法的には対象外)、ということのようです。個人と集団では性質の違いがありますから、一概に同じ規制を当てはめることはできないのでしょう。
しかし、ヘイトスピーチがなぜ許されないのか、という理由については、これらの罪が許されない理由と基本的には同じだと言えるでしょう。つまり、他人を傷つけ権利を侵害する行為だからです。