ブログにしたら広告というか商品を紹介できるようになったので、読書感想文的なことをやっていこうと思います。
と言っても今回の作品はけっこう前に読んだものなので記憶が不確かな面もありますが。
突然ですが、皆さんは少女漫画は読みますか?
大抵の男性がそうであろうのと同じように、私も人生の大半は女性向けのコンテンツは読まずに過ごしてきました。
しかし、ある漫画を読んだことがきっかけで、なんや少女漫画面白いやん!と思うようになったのでした。そのきっかけとなったのがこれです。
ベルサイユのばら 全5巻セット (ベルサイユのばら) (集英社文庫(コミック版))
- 作者: 池田理代子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 156回
- この商品を含むブログ (35件) を見る
はい、「ベルサイユのばら」いわゆるベルばらです。
言わずと知れた古典的名作ですが、名前は知ってても実際に読んだことはないって人も多いのではないでしょうか?
私も実際に読むまでは、なんかまつ毛が長くてキラキラしてるイメージしかなかったんですが、読んでみたら、これが大変面白い漫画でした。名作扱いもうなずける。
まぁ実際キラキラしてる描写はあるんですけど、それは昔の少女漫画だからそんなもんでしょう。しかし全体としては、むしろ硬派といってもいいような作りだった気がします。
この作品はまず、歴史ものとしてとてもよくできていると感じました。なんか昔見たテレビで、本家フランス人がこれを読んで「日本人が書いた作品なのにフランスの歴史をちゃんと調べていてびっくり」みたいなこと言ってましたが、実際そんな感じがします。史実をなぞりつつ、創作をうまいこと織り込んでいる感じ。
そして登場人物にとても共感できる。
恋愛要素もありますが、恋愛だけではなく、それも含めていわば人々の人生そのものを描いている感じですね。(これは他の少女漫画でもそういう傾向あると思いますが)
題材が題材なだけに、政治的な要素も大きい。
ロベスピエールが革命について熱く語るシーンは良かった。
最近日本もLGBT差別の問題で揺れていましたが、特殊な環境ゆえに自らのジェンダーロールに悩み、どう生きるべきか迷うオスカルの姿には、そういう点で現代的な意味があるかもしれません。まぁオスカルさんは家庭の事情で男装してるだけで、LGBTではないんですけど。
オスカルの最後のセリフが意外と(?)政治的なセリフだったのもよかった。愛する人の名前を呼んで終わるとか、そういうノリじゃねぇんだよ!さすがオスカルさんやでぇ…
あとジェローデルは最初出てきた時はなんか裏がありそうなキャラだと思ってたら、普通にいい奴だったのが意外だった。ジェローデルは旧体制の良心というか、旧体制における模範的な価値観の体現みたいな感じがしますね。騎士道というか…
この作品はわりと革命勢力側に肩入れしてる感じですが、一方では旧体制側にも同情的な面がありますし、革命の負の側面にも言及しているのも良いですね。あれでもソフトな描写かもしれませんが。
マリーアントワネットの恋愛はぶっちゃけ「不倫」と言ってもいいようなものですが、事情が事情だけにあまり非難する気にはなれない。むしろ同情してしまう。私にも、ある意味似たようなというか、あれと通じるような経験ありますし。
作品全体の終わり方がけっこう暗い終わり方なのも印象的です。フェルゼン…いいやつだったよ。
番外編の黒衣の伯爵夫人も面白かった。まさかあの人が出てくるとは…まぁあの人は生きてた時代も地域も違うんで、あれは創作というかオマージュみたいですけど。
あまり内容を語りすぎるとネタバレになるので控えますが、とにかく大変面白い作品でした。皆さんも読んでみるといいと思いますよ。