empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

「正社員と非正規の格差をなくそう」→正社員の待遇を下げる??

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「正社員と非正規の格差を是正する」という法を受けて、非正規の待遇がよくなるのかと思いきや、正社員の待遇のほうが悪くなってしまいそうです。(有料記事なので最初のほうしか読めないですがあらましは書いてある)

 

www.nikkei.com

 来年4月、賃金や手当、福利厚生すべてについて、正社員と非正規社員の格差を埋めようとする同一労働同一賃金関係2法が施行される。格差是正のため、企業は正社員側の家族手当や住宅手当の縮小を始めているが、正社員の気持ちは生活保障給の一部である手当削減に追いつかない

 


違う。そうじゃない……そうじゃないんだ……

 

格差是正って言ったら非正規の待遇のほうを引き上げるって思うじゃん?

 

実際には正社員のほうの待遇が下がって、「下に合わせる」ことになってしまいそうです。

(まぁ企業からすればコストカットしようという発想になるのは当然と言えば当然ですから、こういうことは企業に任せておいてはいけない、こういう事態を想定しておくべきだったとも言えるでしょうが)


ここから更に、正社員側が「非正規のせいでこんなことになったんだ!非正規許せない!」と非正規に敵意を向ける……なんてことにならないですよね?

 

ならないとは言い切れないのが悲しい。でもそうなったら、それは上手いこと「分断統治」にはめられているということになりそうです。

 

江戸時代じゃないんだから、「上見て暮らすな下見て暮らせ」な発想はもうやめましょう。皆で上に行こうじゃないか。現代は君主制の階級社会じゃない。民主制の社会なんだから……

 

 


ところで民主制と言えば、これと同じような意味で使われる言葉に「共和制」というのがあります。

私は個人的にはこの言い方のほうが好きなんですが、その意義は以下のように解説されることがあります。

kotobank.jp

 

世界大百科事典 第2版の解説
きょうわせい【共和制 republic】
ラテン語の原義(res publica=共同のもの)が示すように,本来,ある政治社会が,ある特定の個人ないし階層の私物ではなく,構成員全体のものであり,全構成員の共同の利益のために存在しているとみなされる体制をいう。古代ギリシアのポリス,あるいは,共和制ローマにおけるキウィタスの観念は,このようなものであり,それを支えるのが,市民の政治的・人倫的卓越性(徳)であるとされた。ローマが帝政期にはいり,帝国が皇帝の私物とみなされるようになると,共和制の観念は,批判的・理念的価値をもつようになる。

出典|株式会社平凡社

 

 

「本来,ある政治社会が,ある特定の個人ないし階層の私物ではなく,構成員全体のものであり,全構成員の共同の利益のために存在しているとみなされる体制をいう。…それを支えるのが,市民の政治的・人倫的卓越性(徳)であるとされた」

 

私はこの観念にほぼ全面的に同意できます。

だからこそ、一部の階層を攻撃して私利を計ろうとするのではなく、皆で利益を得られるようにしたいと思っています。いわゆる「公共の福祉」というやつですね。

現代では「共和国」を名乗る一部の国のせいで悪いイメージがついているかもしれませんが(「人民」とかもそうですが)、本来は共和制という語彙とその意味は良いものだということは言っておきたいです。