empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

「桜を見る会」の問題点は何か?

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桜を見る会にまつわる問題ですが、報道が多岐にわたるため、そもそもこの会の「何」が問題になっているのか分からなくなるかもしれません。そこで、これについて整理してみてはどうかという声がありましたので、調べてみました。

桜を見る会とは皇族や各国の駐日大使や国会議員や各省庁が推薦する各界の功労者を集めて行われる行事で、昭和27年(1952年)に始まり、それ以来ほぼ毎年行われています。この会の存在自体を問題視する人はほとんどいません。
では何が問題なのか?

自分としては、主な問題点は4つあると思います。

・お金がかかりすぎ
公職選挙法など法律違反の可能性
・反社会的勢力との関わり
・証拠資料破棄など政権による対応

【お金がかかりすぎ】

まずお金についてですが、桜を見る会は年々規模が大きくなり、2018年には予算の3倍の約5200万円のお金がかかっています。桜を見る会は税金でまかなわれているイベントなので、これも一つの問題ですね。


「首相が各界の著名人らを招いて毎年四月に東京・新宿御苑で開く「桜を見る会」の費用が、二〇一八年度は予算の三倍となる約五千二百万円に上ったことが、十三日の衆院決算行政監視委員会で明らかになった。第二次安倍政権の過去五年間、同じ額の予算を計上しているが、実際の支出は毎回、予算を上回り、増え続けている。参加者の増加が主な原因だ。」
www.tokyo-np.co.jp


公職選挙法など法律違反の可能性】

桜を見る会とその前の「前夜祭」(夕食会)には、安倍首相の地元の後援者の人たちが招かれており、これが公職選挙法などの法律に違反していると指摘されています。


「告発状によれば、国の予算で首相が毎年開催する「桜を見る会」で、安倍首相が地元後援者約850人を招いて酒食を提供したことは、公職選挙法違反の疑いがあるとしている。さらには、ホテルニューオータニで開かれた前夜祭で、1人5千円の会費を徴収してホテル側に支払ったのに、政治資金収支報告書に記載しなかった。従って、政治資金規正法に抵触すると主張している。」
dot.asahi.com


また、夕食会ではホテルの利用料金が異様に安かったことから、その差額が安倍晋三事務所によって補填されていたかもしれず、そうなるとこれも公職選挙法違反、あるいは贈収賄にあたる可能性があると指摘されています。


「まず、夕食会がホテルの上記最低料金で行われたとして、その正規料金との差額、つまり500万円弱の費用が安倍晋三後援会(ないしは安倍晋三事務所)によって補填されていたかもしれません。

 そして、もしもそうならば、この場合は公職選挙法が禁止する寄附行為に当たる可能性があります。

 公職選挙法の第199条の2第1項は、現職の政治家(候補者も)が選挙区内の人に寄附をすることを禁止しています。たとえばお中元やお歳暮、病気見舞いや出産祝い、地元の行事への寸志や差し入れ、飲食接待などがこの寄附行為に当たります。また、政治家本人はもとより、政治家の後援団体(後援会など)が行う寄附も、政治家の寄附同様に禁止されています。」

news.yahoo.co.jp

また、桜を見る会には各省庁の推薦とは別に国会議員の「推薦枠」があり、安倍首相はこれを使って後援者を呼んだのですが、首相のみならず、「私人」と閣議決定されたはずの首相夫人(安倍昭恵)の推薦枠もあったことが分かっています。これを使って呼ばれた人たちも参加していたとのこと。
dot.asahi.com


【反社会的勢力との関わり】

桜を見る会には「半グレ」と呼ばれるような反社会的勢力(反社)のメンバーが参加しており、またマルチ商法で有名な「ジャパンライフ」の会長も参加しており、この会への参加が反社の社会的信用を高め、その活動に利用されたと指摘されています。
また、内閣は会の開催費が膨らんだ理由の一つに警備強化をあげていたのに、実際には警備が手薄だったことも判明。
www.tokyo-np.co.jp


「二〇一五年に桜を見る会に招待されていた「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長は四十年以上前にも国会招致され、マルチ商法の世界では「有名人」だった。会に招待された前年には、元会長が主導した事業を巡り、消費者庁から行政指導を受けたばかりだった。
…翌年に届いた会の招待状について「追い詰められた山口氏にとって、救世主の役割を果たした。ジャパンライフが最後の荒稼ぎをしようとしたことに手を貸した」と批判した。」
www.tokyo-np.co.jp


さらに、反社との関わりを追及された菅義偉官房長官は、反社会的勢力の定義は「一義的に定まっているわけではない」と述べます。

しかし、実は2007年(第一次安倍政権)の時点ですでに以下のように反社会的勢力を定義していたことが判明。

「暴力や威力、あるいは詐欺的な手法を駆使し、不当な要求行為により、経済的利益を追求する集団や個人の総称」

これは、法務省が2007年に出した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に基づいたもの。

しかし政府はこれを追及されても、重ねて、反社会的勢力について「限定的かつ統一的に定義することは困難である」と閣議決定しています。
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/hansha

mainichi.jp


【証拠資料破棄など政権による対応】

自分としてはこれが一番の問題だと思いますが、政府はこの件について追及されると桜を見る会についての証拠資料を破棄するなど、到底誠実とは言えない対応をしています。
上で述べた反社の定義をうやむやにするようなこともその一つです。

桜を見る会」の招待者名簿などの資料は、野党が資料開示請求をした直後(約一時間後)にシュレッダーで破棄されています。

当初、内閣府はこの理由を「シュレッダーは前から予約していたが、たまたま開いていたのがその時間だったから」と説明していましたが、後から出した資料でそれより前に空き時間があったことが判明。


「5月9日(木)正午ごろ、野党が「桜を見る会」の資料の開示請求を行ったところ、その約1時間後の午後1時20分~2時45分に、内閣府人事課の職員がシュレッダーで資料を破棄した

これについて内閣府は、シュレッダーを予約したのは4月22日で、各局の使用が重なったため調整した結果、連休明けの5月9日になったと説明していたのだが…

野党の追及が強まった理由は、内閣府が新たに提出した「大型シュレッダー貸出使用者記録表」にある。
…資料が正しいとすると、5月9日以前にも空きが複数存在したことになる。」
www.fnn.jp



さらに、文書の他にも電子データのバックアップが残っていたことも判明。
しかしこれについても政府側は「バックアップデータは公文書ではない」「復元は考えていない」と答弁。

菅義偉官房長官は4日午前の記者会見で、桜を見る会の招待者名簿を記録した電子データについて、今年5月に国会で資料要求があった時点で、バックアップデータが残っていたことを認めた。一方で、「(バックアップデータは)公文書でなかった」とし、国会議員の資料要求に応じる必要はなかった、との認識を示した」
www.asahi.com


「首相主催「桜を見る会」の招待者名簿が廃棄された問題で、政府は名簿の電子データについて「復元することは考えていない」とする答弁書閣議決定した。」
mainichi.jp


また、この文書は保存期間が「一年未満」とされていますが、この「行事等の名簿」の保存期間が「一年未満」という規定が出来たのは2018年のこと。さらに内閣府は2019年にこの資料を廃棄した後から、資料の対象をせばめて「行事等の案内の発送等」の保存期間を一年未満と定めています。
www.tokyo-np.co.jp



この「一年未満」の規定は、政権が都合の悪い資料を破棄するために利用されているのではないかと批判されています。


「ところで、この保存期間「1年未満」という言葉。以前も聞いたことがないでしょうか。

公文書の管理をめぐっては、一昨年から去年にかけて問題が相次ぎました。陸上自衛隊の「日報」、森友学園に国有地を売却した際の「交渉記録」も、保存期間「1年未満」という扱いでした。「廃棄した」という説明に批判が集まりました。

行政文書は内容に応じて保存期間の基準が決められ、5年、10年、30年などに分けられます。「管理簿」に文書のリストがまとめられ、誰でも見ることができます。この管理簿を使って情報公開請求も行うことができます。
ところが「1年未満」文書は「例外」という扱いで管理簿にも登録されず、自分たちの判断で廃棄できます。当時「抜け穴」と強い批判があがりました。」

なお、過去の「桜を見る会」の資料は今も国立公文書館に残っていて、昭和29~32年(1954~1957年)の資料は永久保存となっているとのこと。
www.nhk.or.jp



ちなみに「桜を見る会」の招待客選定に使われる推薦名簿は、内閣官房以外の主な省庁では保存期間は最短でも3年(法務省)、他には5年(警察庁など)や10年(総務省など)としているところも。
www.tokyo-np.co.jp

証拠資料がないと疑惑は疑惑のままで、「可能性」とか「疑い」とか言われることになります。そうすると「はっきり黒と決まったわけではないのだからいいじゃないか」という気になってきますが、疑惑を向けられた側が、自分で証拠を破棄しておきながら「証拠がないから無罪」という主張が許されるべきではないと私は思います。

他にも「シュレッダーの性能」「障害者を盾にする」「野党叩きに転嫁」「デマが流れる」などいくつか問題はありますが割愛。


政府は過去にも公文書改ざんや統計不正問題を起こしてきました(統計不正は2004年から行われてきたので現政権だけの問題ではないですが)。また障害者雇用の水増しやいい加減なデータに基づいた立法(高プロなど)なども行ってきました。
過去に行われてきたこうした不正が許されてきたことが、今につながっているとも言えるでしょう。
記録文書の不正は国家の信用を揺るがす問題ですし、こうした記録に基づいて行われる政策全ての信頼性と有効性を揺るがすものです。
今回の件が許されてしまえば、また今後も虚偽に基づいた政策が行われ、それは国民全体の不利益になりかねないことだと考えます。

www.jiji.com


www.sankeibiz.jp

news.yahoo.co.jp