empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

立場の違いということ

例えばの話ですけど、もしアメリカで白人至上主義者で差別主義者の政治家が増えてきたなら、黒人やアジア人の住民はそれに脅威を感じ反発するだろうと思います。
なぜなら、その人たちにとってそれは死活問題になり得るからです。

一方で、白人の住民なら、「確かに悪いことではあるけど、そこまで気にすることではない。それより、経済や外交でもっと重要な政策を進めてほしい」と思うかもしれません。もちろん、強く反発する人もいるでしょうが。

イスラム教圏でイスラム主義が台頭してくれば非イスラム教徒は脅威を感じるでしょうが、イスラム教徒はさほどでもないかもしれません。
共産主義国で宗教への弾圧が起こってくると、信者は脅威を感じるでしょうが、無宗教者はさほど気にしないかもしれません。

これと似たような問題は、日本でも他の国々でも起こることでしょう。


また、政府の政策で税金の負担が増えて社会保障が削られる場合、貧困層はそれに脅威を感じ反発するでしょうが、富裕層ならさほど気にしないかもしれません。


また、男尊女卑的で女性差別を助長するような思想や制度がある場合、女性はそれに脅威を感じ反発するでしょうが、男性ならさほど気にしないかもしれません。



こうした立場の違いによって観点の違いが出てくるのは自然なことだとは思います。
実際、人はそれぞれ違う立場でそれぞれの人生を生きているわけですし、その立場だからこそ気付けること、というのも多分あるでしょう。

しかし、一般人ならともかく、政治家なら、自分と自分の身内の利益だけを求めて行動するのではなく、広く一般の人の利益ために、公共の福祉のために行動する必要があるはずです。

国会議員は広い意味では公務員であり、公務員は一部の奉仕者ではなく「全体の奉仕者」だからです。

kotobank.jp

世界大百科事典 第2版の解説
こうむいん【公務員】
大日本帝国憲法下では,官吏,公吏などの言葉が使われていたが,国民主権日本国憲法下では,国民の公僕という意味をこめて公務員という言葉が主として使われるようになった。 実定法上,最も広い意味では,国または地方公共団体の公務に従事するすべての者をさす。したがって,広く国会議員や地方議会の議員も含まれる(日本国憲法15条2項に規定された公務員)。しかし,一般的に公務員という場合には,公選による議員を除いたそれ以外の公務を担当する職員をさす。

(狭い意味では議員が公務員に含まれないのは、議員を含む特別職は国家公務員法地方公務員法ではなく個別の法律の規定を受ける立場だからのようです)

www.shugiin.go.jp

日本国憲法第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

さらに言えば、民主制の国では国民が主権者ですから、国民もまた社会に対して何かしらの責任を持っているわけです。

もとより、民主制でなくても、伝統的に自分と自分の身内の利益だけを求めて行動し、他を捨てて顧みない者は非難されてきたものです。

自分の利益だけでなく広く公共の福利を求めるなら、それが公益心であり社会性があることだと言うべきでしょう。