empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

憲法記念日


今日は憲法記念日でした。

あまり批判的なことは言いたくありませんが、一部の人々の間では憲法と言うといまだに9条や平和主義のことばかりが取り沙汰されているようで、世論調査では9条の改憲については賛否がほぼ拮抗しているけど、緊急事態条項については賛成派のほうが多い事態になっているようです。

これを危惧したのか知りませんが、日本弁護士連合会も改めて緊急事態条項の創設に反対する声明を出していました。
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2022/220502.html


9条に代表されるような平和主義の規定も、それはそれで確かに意義あることだとは思います。(もちろんこれは自衛権を認めないという意味ではない)


しかし、それよりももっと根本的に重要なこととして、今の憲法国民主権基本的人権を保証しているということのほうが大事なことであるはずです。

明治憲法(大日本帝国憲法)の下では国民に主権はありませんでしたし、人権も「臣民の権利」として、「法律の範囲内において」とか「臣民たるの義務に背かざる限りにおいて」とかの限定された権利でした。
そして実際に検閲や、後には特定の思想信条の持ち主が特高警察に逮捕され拷問死するような事態があったわけです。今の日本国憲法になってから初めて国民主権と、法律の範囲内に限定されない基本的人権が保証されたのです。

もちろん明治憲法にしてもそれ以前に比べれば権利の保証や立憲主義において進歩したと言えるでしょうが、今の憲法からするとやはり不足したものだと思います。



仮に日本で9条が全く廃止されて自衛隊が正式に軍になったとしても、その軍は少なくとも直接には国民の権利を侵害するものではない(はず)でしょう。

しかし自民党案のような歯止めのゆるい緊急事態条項で三権分立が停止され、人権が制限されるような事態になれば、それは直接国民の権利を侵害することになりかねないと危惧します。

自民党案の緊急事態条項では「国民の生命、身体及び財産を保護するため」という文言はありますが、「自由を守るため」という文言はありません。もしこれが、自由権は保証されないという意味ならば、人身の自由も表現の自由(言論の自由)も、さらには思想良心の自由のような内心の自由さえも脅かすことにつながるのではないかと危惧します。

私は正直、政府の政策が「右傾化」しようと「左傾化」しようと、あるいは「小さな政府」や「大きな政府」に傾こうと、自分自身の生命と財産と自由が守られていれば、個別の政策にはさほどこだわりはありません。
しかし人権を制限するという話になってくると、それは直接自分の利害に関わってくることですからやはり無関心ではいられないと思います。(本当は個別の政策も自分の利害に関わってくるのですけど…)

正直言って今後の日本の市民的自由についてはあまり楽観的になれませんけど、こうした核心的な自由が守られることを望みます。