empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

中絶手術

(この件についてはすでに進展がありましたが、その前に書いていたのでそのまま投稿しました)

アメリカの一部の州では中絶手術が違法化されたり、過去に中絶を合法化した裁判所の判決がひっくり返されるかも知れないという話もあって、中絶の権利に関して他国のことながら憂慮すべき事態であるように思われます。
「中絶の権利を覆すな」アメリカ各地で大規模デモ 禁止派と応戦も:朝日新聞デジタル
(2022年5月15日の記事)


ところで、こうした動きの背景にはいわゆる「保守的」なキリスト教の団体の中絶に反対する運動があるようで、トランプ元大統領がこれを利用して政治的な支持を得るためにこの運動に乗っかっているようでもあります。トランプ自身はとうてい模範的なキリスト教徒には見えませんが。


自分としては、ある宗教上の信条として中絶が罪とみなされるならそれは仕方がない…というか、それは人間の意思によっては変えられない、あるいは容易には変えられないことだと思います。宗教には宗教の論理があり、その固有の領域があるわけですから。

しかし、政治がその信条によって支配されるべきではなく、政治の領域では政治の論理に従って独立してことが行われるべきだと思います。それが政教分離の意義の一つだと思います。(もっとも、これらの領域が必ずしもはっきり分かれているとは限らず、殺人や盗みなどが両方によって禁じられるように重なる部分もあるとは思いますが)

ですから、仮に中絶が宗教的な罪であっても、それは政治によって罰せられるべきではないと思います。もしそれが罪であるならば、それは宗教の領域で罰せられるべきであろうと思います。


日本においても、一部の宗教団体が政治に食い込もうとしているようですが、仮に政治が宗教に支配されるようになれば、それと信条を同じくしない人々は思想良心の自由も行動の自由も脅かされるし、また信条を同じくする人々も、そこから脱することができなくなるわけですから、思想良心の自由を含めた市民的自由を守るためには政教分離を守る必要があると思います。