empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

読経しちゃうぞ!&さんすくみ

また読書感想文(漫画の)です。

今回紹介するのはこちら。「読経しちゃうぞ!」(読み切り)と、それが連載化された「さんすくみ」(全10巻)です。

読経しちゃうぞ! (フラワーコミックス)

読経しちゃうぞ! (フラワーコミックス)

さんすくみ 1 (1) (フラワーコミックスアルファ)

さんすくみ 1 (1) (フラワーコミックスアルファ)

おおざっぱに内容を言うと、神社の息子(神道)と、お寺の息子(仏教)と、教会の息子(キリスト教)の、仲良し二十代男子三人が色々やる話です。日常系with宗教とでも言うべきだろうか。なかなか異色の作品ですね。
たぶん「さんすくみ」から読み始めても大丈夫でしょうが、「読経しちゃうぞ!」も面白いので、そこから読むのがオススメです。

漫画で宗教を扱うと、宗教同士の対立の話や、特定の宗教をディスる内容になりがちな気がしますが、この三人はとても仲が良い上に、お互いの信条を尊重している感じがして大変良いです。皆がこうだったら世の中はもっと平和になるだろうなぁ…
一応少女漫画ですが、老若男女楽しめる作品だと思います。

宗教家の知られざる苦労話も分かるかも知れません。神社の息子だと笙(楽器)を習わないといけないのか…?

私は長崎旅行のエピソードが好きです。あとヤクザの葬式とかクリスチャン・メタルとか。クリスチャン・メタルの人は終盤で出てきただけに出番が少ないのが残念やね。

あと内容とは関係ないですが、連載されていた時期の関係で、登場人物の携帯が途中でガラケーからスマホに変わっているのが趣深い…

ちなみにこの物語の舞台は奈良らしいです。ちょっと奈良に行ってみたくなる。

なぜ左派は内ゲバするのか

日本の左派やリベラル派はよく仲間割れしていると言われますし、実際ちょくちょくそれが目につきますが、これは何故なのでしょうか?
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他でもよく似たようなことが言われますが、それはそもそも「左派」と呼ばれる集団は、元々まとまった一つの集団ではなく、言ってみれば「右派ではない」集団の総称だからだと思います。

つまり「右派」というのは、その国の主流派、または伝統的なやり方に適応した人々のことであり、それに適応していない人々の集団がまとめて「左派」と呼ばれているのであって、
実際には民族的マイノリティの集団、性的マイノリティの集団、宗教的マイノリティの集団、またそれとは別に単純に政治的に左派である人々など、それぞれ異なった背景と思想を持った集団の集まりなのだろうと思います。(さらに、これらの集団の間でも細かい違いがある)もちろん、マイノリティだからといって左派とは限りませんが。
ですから、その諸集団の間ではそれぞれ思想も背景もルールも異なるのであって、であれば内輪揉めするのもある意味自然ではあります。いや、内輪揉めというより、元々異なった集団の対立というべきでしょうが。


で、このようないわゆる「左派」が分裂しているのが左派の弱さの一因だとも言えるでしょうが、ではこれをどうすればいいのかといえば、私としては、無理にその差異を無くそうとするのではなく、それぞれが独自性を発揮しつつ、協力できるところでは協力するのが良いと思います。月並みな言い方ではありますが、相互尊重しつつ共生するということです。

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言ってみればこれは地方創生のようなもので、各地方にはそれぞれの独自性があるわけですが、その独自性をなくしてしまっては地方創生にならないでしょう。
むしろその独自性を発揮し伸ばし、時には改良しつつ、また他の地方とも協力していくのが良いやり方だと思います。
更に言えばこれは個々人の関係とも同じようなものであって、人々はそれぞれの個性がありながら、また他とも協力しあって生きている(あるいは、そうするべきである)のであって、要はそれが自由、平等、そして友愛というリベラリズムの理念であるわけです。

もちろん、それぞれ違う集団が独自性を発揮しつつ共生していくためには、共通のルールを守ることが必要であって、自己を保ちつつ他者も尊重し、他者の権利を侵害しないということが必要です。
で、要はそれが、法的に言えば自然権(人権)、民主主義、法の支配、政教分離三権分立といったルールなわけですが、こうした共通のルールを守るためになら、異なった集団も協力することができるでしょう。

異なった集団の集まりであることは弱さともなり得ますが、例えばアメリカなども、元々異なったルーツを持った集団が集まってできた国であって、(主にヨーロッパ系ではあるものの)英国系、フランス系、スペイン系や、ピューリタン系、国教会系、クエーカーやバプテストやカトリック系などの異なった集団が集まって、しかし共に協力して英国から独立して、西側世界の雄となりました。カナダのトルドー首相も言っていましたが、「多様性は弱さではなく、むしろ強さである」というわけです。(もっともこれは、「強さである」というよりは、「強さとなり得る」というべきでしょうが)

よく政党について、それがある人々の「受け皿となる」と言われますが、多くの人にとって、政党や政治は「受け皿」ではあっても、自分自身の「背景」「ホームグラウンド」というわけではないでしょう。(無論そうでない場合もあるでしょうが)
人々にとって根本であるのはやはりそれぞれ「自分自身の」人生であり、それを守り、より良きものにするために、人は政治を行いもするわけです。

ですから、人は各々、自分自身のよって立つところ、自分自身のルーツとアイデンティティに立ち返り、それを確かなものとして守り育てるべきでしょう。そして、自らの仲間とのつながりを深めるべきでしょう。そうしてこそ、そこを拠点にして、新たな活動を始めることもできるだろうと思う所存です。もちろんそれと共に、自分とは異なった他者を尊重することも必要ですが。

特に日本においては、人は自己主張が苦手で、自分を押し殺して生きる傾向があるように思いますが、人はもっと自己を尊重し、自己を守って生きていくべきでしょう。その点で、近年LGBTの権利が主張されるようになり、カミングアウトする傾向があるのは一つの転機かも知れません。


クリスティの小説の中に、「人の真の悲劇は、人が変わってしまうことではなく、人が変わることができないことだ」という台詞がありますが、私はこの台詞の正しさが骨身にしみています。人はどうしたって、自分自身以外のものにはなれないでしょう。また私としては、なりたいとも思いません。どこまでも自己であり続けること、それが個人を尊重するというリベラリズムの基本だと思います。


Be yourself, no matter what they say.
「お前自身であり続けろ。他人が何と言おうとも」
youtu.be

初夢

皆さん明けましておめでとうございます。

🎍🐗🐗🐗🎍

皆さんはどんな初夢を見ましたか?
私はなんか人類がほぼ滅亡した世界で、どこかの建物に立て込もって、ウイルスで凶暴化した特殊な生物と自動小銃で戦っているバイオハザード的な世界観の夢を見ました。こいつは春から縁起がいいや!

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でも実は、「初夢」というのは大晦日から元日にかけての夜に見る夢のことではなく、一月二日の夜に見る夢のことを云うという説もあります。
それと共に、大晦日~元日の夜の夢という説もあるんですが。私はこの説に依っておきます。

https://sk-imedia.com/hatsuyume-4380.html

まぁ一見悪い夢でも、例えば自分が死ぬ夢を見るとそれは良い兆しだという説も読んだことがありますし、気の持ちようが大事だと思います。今年は多分、読書感想文が多くなると思います。
今年もよろしくお願いします。