empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

社会のビジョン?


政治に関心がある人でも、どんな社会を目指すべきかというビジョンが欠けていると言われることがあります。

私も多分そうでしょうが、私は正直言って、自分自身の生命と財産と自由が守られていれば、それ以上に特に社会に求める、実現したい理想やビジョンがあるというわけでもありません。(もちろん現実には社会のあり方しだいで自分の生き方も左右されるので、無関心でいるというわけにもいきませんが。)

私が人権にこだわっているのも、それが自分の生命と財産と自由を保証するための法的な根拠だからです。
とはいえ、そうした権利が現実的に守られるためには立憲主義(あるいは、法の支配)が守られることが必要ですし、またそのために民主主義や政教分離も必要になってくると思いますから、それらも私は求めています。
また差別やフェイクニュース(偽情報)にも反対していますが、こうしたことはそれほど特殊な主張でもないと思います。


ですから、人権を抑圧するような自民党の2012年の改憲草案や、2018年の改憲素案の濫用の懸念が大きい緊急事態条項が、撤回されるか、あるいはまともな立憲主義的な改憲案に差し替えられれば、もう私はわざわざ政治的な発言をしなくてもいいぐらいに思っています。


とはいえ、自由や平等をよりよく保証するためには、格差を縮めて福祉を充実させるような、社会民主主義というか、北欧に近い福祉政策のほうが良いと思うので、私は基本的にはその路線を支持しています。
しかし、アメリカのような格差が大きい社会でも、そこに自由があるなら、私はそれでも許容範囲です。

一方で、ロシアや中国のような権威主義体制や、また昭和の軍国主義の日本や同時代のドイツやイタリアのような自由がない社会は拒否するところです。


しかし、基本的に、第二次大戦後の日本は、昭和の軍国主義(と、その背景になっていた帝国時代の天皇主権の体制)への反省から、自由主義の国として形成されてきたと思います。
もちろんそれだって完璧だとは思いませんが、私は基本的にはその自由主義国としての日本の体制を支持していますし、その上で、現実的な必要として不足しているところがあればその都度修正していけば良いぐらいに思っています。ですから、仮に改憲自衛隊の活動範囲が広がってもそれが必要な範囲でならそれもありだと思います。(侵略戦争や軍による政治支配を許すという意味ではなく)
それと共に平和主義の原則も守るべきだとは思いますが。(自衛権を否定するという意味ではなく)


ですから、言ってみればその自由な国としての日本というのが私の「理想」だと思います。

朝日川柳の炎上

2022/7/15 の朝日新聞の川柳で、

❝還らない命・幸せ無限大❞

という句が、一句目の川柳として選ばれていました。


www.asahi.com



安倍元首相が銃撃されて亡くなった事件から間もない時期であることや、一部の人から敵視されがちな朝日新聞であるせいか、この句を「安倍元首相が死亡して幸せ」という意味だと思った人々がいたようで、「ひどい」「最低だ」「廃刊しろ」などと怒りの声が複数上がっていました。



しかし、実際の記事を見てみると、下の方に

「一句、東電旧経営陣に13兆円賠償命令。」

と書いてあり、この句は安倍元首相のことではなく、東電旧経営陣への賠償命令について詠んだものであることがわかります。ちなみに二句目も裁判について詠まれておりそれ関係のようです。

つまりこの句は、「原発事故で失われた命や幸せは帰ってこないし、その価値は13兆の賠償金でも測れないほどの(無限大の)ものだった」という意味だと言うべきでしょう。

もっとも、この句の書き方が、区切りが分かりづらい上に「命・幸せ」と紛らわしいところに“・”が入っているせいで誤解を招いたという所はあるでしょう。

❝還らない 命・幸せ 無限大❞

という書き方にしておけば誤解を避けられたかも知れません。

ともあれ、センセーショナルな文句だけに反応するのではなく、元の記事を読むことは大事だと思った炎上でした。

統一教会のこと

安倍元首相の銃撃事件を期に、にわかに統一教会(今の名前は世界平和統一家庭連合)について言及されることが増えましたが、安倍政権と統一教会との関係はそれ以前にもちょくちょく指摘されていたことでした。(だからといって銃撃事件を正当化するわけではないですが)

統一教会キリスト教系の新宗教(新興宗教)だと言われますが、一般の正統派キリスト教界からも異端のカルト宗教だとみなされていて、一般社会でもやはり危険なカルト扱いされてきたもののようです。


統一教会自民党、あるいは安倍晋三とその所属する清和会とのつながりは確かにあるようですが、その関係の深さや影響力がどの程度かについては報道によって開きがあります。

下の記事によると、統一教会は確かに安倍晋三とは祖父の代から関係があり、清和会とも関係があるが、その影響力は近年は低下しており、今は自民党、特に清和会を支持する団体の一つぐらいの立ち位置のようです。また、宏池会とはほぼ関係ないようです。(清和会と宏池会は共に自民党内の派閥)

news.yahoo.co.jp


とはいえ、自民党全体への影響力はともかく、特定の政治家とは関係が深いということはあり得ますし、自民党全体への影響力と、カルトとしての悪質さはまた別の問題なので、それが銃撃事件の要因になっているのでしょう。

自民党の家庭政策や改憲案にも統一教会の意向が反映されているのかも知れませんが(少なくとも一致はしているようですし)、自民党統一教会だけでなく複数の宗教団体とつながりがあるので、仮にそこから統一教会が抜けたとしても政策全体が大きく変わるというものでもないだろうと思います。似たような思想を共有しているから互恵関係にあるといったところでしょう。


銃撃事件以前にも、神道政治連盟の会合でLGBTsへの差別やその「治療」が主張されてニュースになっていましたし、しかもその主張をしていたのは神道家ではなくキリスト教学者だったという話なので、そういう宗教右派の連合体が政策の支持をしているのでしょう。もちろん宗教団体だけではなく他の組織の意向も政策に反映されていると思います。

news.yahoo.co.jp


とはいえ自分としては、統一教会を抜きにしても、宗教団体に後押しされる改憲などは真っ平御免ですが。