empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

ガザでの戦争について

私はイスラエルのガザでの戦争には反対ですけど、それはだからハマスの肩を持つということではなく、逆にイスラエルの肩を持つということでもなく、単に一般市民が犠牲になる戦争に反対だというのが今のところの考えです。

とはいえ、現状だと犠牲者が主にパレスチナ人の側に偏っているのは否定できませんし、イスラエル自衛権を否定するわけではないですが、ガザ侵攻は正当防衛の範囲を越えた過剰なものになっているとは思います。

今の戦争の背景にも色々な思惑があるでしょうが、何にせよそれで犠牲になるのは主に一般市民のほうだし、それがまた今後の戦争の火種にもなるだろうからそこはやはり看過できないところだと思います。

 

また一応言うと、だからイスラエル人が(あるいはユダヤ人が)皆極右の軍国主義者だとか思うわけではありません。それはパレスチナ人が皆テロリストだというわけではないのと同じようなことだと思います。

今回の戦争にはユダヤ人の中からも反対の声が上がってるそうですし、*1ユダヤ教の中でも「超正統派」と呼ばれるグループは当初からイスラエルの建国自体にも反対だったとも言われます。

 

とはいえ、パレスチナ周辺の環境自体にこうした状態を作り出す要素があるようにも思えます。

イスラエルのように、周囲をほぼ「敵」に囲まれていて常に臨戦態勢にあることで生き残っている(あるいはそう思われている)国では、パレスチナ人と和解しようとするような勢力は裏切り者扱いされてなかなか支持を得られないだろうとは思います。

パレスチナのほうでも、常にイスラエルに圧迫されているような状態では和解はなかなか支持を得られないだろうし、それがハマスのような武装勢力が支持されやすい環境を作り出しているだろうとは思います。そして今回の戦争でこうした傾向はさらに高まっていくんでしょう。パレスチナだけでなく他の国々にも飛び火していますし。

 

イスラエルでは今回の侵攻より前に、極右政党と連立した「史上最も右翼」と呼ばれる政権が成立していました。(イスラエル国内でも反発があったようですが)*2

ロシアでもウクライナ侵攻より前から、大統領の権限が強化(2020年)されたり、ソ連時代の独裁者スターリンが再評価される(官製の)動きがあったというので、急に起こったことではなく前からその兆候はあったということでしょう。*3

*1:アメリカのユダヤ人、戦争反対に立ち上がる──デモ隊が米議会施設を「占拠」(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース (2023/10/19) ❝ユダヤ系の平和活動団体「平和へのユダヤ人の声」が、停戦を求めて連邦議会で座り込みを行っていることを公表した。❞

*2:イスラエル、「史上最右翼」政権が発足 ハイテク企業経営者が懸念:朝日新聞デジタル(2022/12/30)❝中東イスラエルの国会で29日、ネタニヤフ元首相(73)を首班とする連立政権が信任された。過激な極右政党との連立合意で成立した新政権は「史上最も右翼」と評される。連携する極右政党からは、アラブ人らや性的少数者を差別する政策を打ち出す動きがあり、反発が広がっている。❞

*3: コンサートに行くと実は・・・プーチンが推し進める青少年教育とスターリンの神話化【報道1930】 | TBS NEWS DIG (2ページ)(2022年6月11日)

❝「ソ連崩壊が91年の12月ですから、この調査はその直前だったのでしょう。その頃はスターリンの粛清など悪い面が知れ渡り嫌悪感が強かった時。(中略)しかし、プーチン大統領になってスターリンの偉業を思い起こさせ、自らとスターリンを重ね合わせるような言説が高まった。」

調査を行ったレバタセンターでは、その後もスターリンへの評価を調べ続けてきた。これによるとプーチン氏が大統領に就任して以来、スターリンへの嫌悪感や恐怖心は急速に減り、現在では、敬意や好感といった評価が60%に及んでいる。残りの多くは無関心で、ネガティブな評価はほとんどなくなった。しかし、この評価はロシア国民の自発的な変化ではなく、プーチンがそう導いたからだと兵頭氏は言う。❞