empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

平和外交

第二次大戦後の日本の平和主義には極端に走った部分もあるかも知れませんが、しかしもちろん積極的な意義もあって、第二次大戦後の国際紛争ではほぼ中立的な立場を取ってきたということがあると思います。

 

日本は冷戦下では西側の一員でしたし今もそうですが、平和主義のためもあって実際の戦争に加わることはなかったので、西側でありながらも中立に近い立場ではあったと思います。少なくともベトナム戦争におけるアメリカのような遺恨は残していないでしょう。

 

その後もアメリカ同時多発テロ事件後のいわゆるテロとの戦いにも直接参戦はしていないので、中東やアフガニスタンでも少なくとも欧米に比べれば遺恨や確執は少ないと思われます。

アフガニスタンで活動していた中村医師もこの点で憲法の平和主義の意義を評価していたのを読んだことがありますし。(イラクには自衛隊を派遣したので反感も買ったようですが、それでも欧米に比べれば軽いほうでしょう)

日本はアメリカとの関係はしばしば追従しすぎると言われるくらい深いですが、アメリカと対立するイランとも良好な関係なので、こうした関係は有益なものになり得るだろうと思います。

 

逆に、アメリカやロシア(旧ソ連)や最近の中国のように、他国に直接軍事介入したり軍事的に対立することが多い(多かった)国はそれだけ敵も多いと言えるでしょう。

日本は直接対立することの多い周囲の国々とはしばしば関係が悪化しますが、その他の国々とは今のところあまり対立を抱えていないと思います。

しかし例えば東南アジアは第二次大戦時に日本軍が占領したので、一概には言えませんがフィリピンやシンガポールインドネシアなど戦後は対日観が悪化していた面は否定できないようです。しかし歴史はともかく現在の関係はおおむね良好なようで、そこはやはり戦後は軍事的に介入してこなかったしむしろ経済的に援助してきたという点を抜きにしては現在の関係はなかっただろうと思います。 *1

 

そして、たまに言われる「平和主義を活かした外交」というものがあるとしたら、それはこうした立場を活かしたものだろうと思います。

今回のガザのようなパレスチナ関係でも、日本はパレスチナ問題を引き起こした歴史的責任から距離を置ける立場だと言われることがあります。日本がこの立場から平和に貢献できれば良いがと思います。

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/284548

❝国連安保理非常任理事国で、伝統的に中東の国々と友好関係を持つ日本だからこそ、戦火を鎮める役割を求める声も続いた。

法政大の奈良本英佑名誉教授(中東近現代史)は「イギリスや米国など、中国を除く常任理事国パレスチナ問題を起こした歴史的責任がある。そこから距離を置き、戦火をあおることはやめてと言えるのが日本の立場だ」と説いた。❞

*1: https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_005211.html

(2017年) 3 戦後70年の日本の平和国家としての歩みについてどう思うかとの質問については,ASEAN全体で88%(前回調査82%)が評価すると回答しました。