empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

「外国人には現金給付するな」という言説

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コロナ禍への経済対策として一律現金給付の案が固まってきましたが、日本の一部では「現金給付するのは日本国籍を持つ者だけに限るべきで、(国内在住の)外国人には給付するべきではない」「日本人の税金を使ってなぜ外国人を助けなくてはならないのか」といった言説が持ち上がってきているようです。


私は、この現金給付の政策には主に二つの目的があると思っています。
一つにはコロナウイルスの感染拡大を防ぐための防疫対策としての意味、もう一つにはコロナ禍で経済が落ち込むことを軽減するための経済対策としての意味です。

で、防疫対策としての面を考えてみると、仮に外国人に現金給付がされなかったとしたら、彼らは生活のために働きに出なければならなくなるので、こうして彼らはコロナ感染のリスクにさらされ、そして彼らから、地域社会の他の人々にも感染が広がっていき、結局は社会全体の感染リスクが上がることになるでしょう。

また、経済対策としての面を考えてみると、外国人もこの国の領域内に住んでいるなら、この国の経済活動に参加してその一翼を担っているわけですから、外国人の経済活動が落ち込むことは、結局は日本人の経済活動が落ち込むのと同じ結果になり、こうして日本の経済全体がそのためにダメージを受けることになるでしょう。

要するに、どちらにしろ本末転倒なことになる、と私は思います。

当たり前と言えば当たり前のことですが、ウイルスには国籍はありませんし、ウイルスは人々の国籍や民族を見て、誰に感染するかを決めるわけでもありません。ことの性質からすれば、これは国と国との問題ではなく、感染が広がっている地域全体の問題だと言うべきでしょう。ですから、日本の立場からすれば、これは日本政府の統治権が及んでいる地域の問題でもあります。


また道義的な面から見ても、外国人だって人間ですし、日本に住んで税金を払っているからには、せめてそれ相当のサービスを受け取る権利があると思います。


確かに、国や国籍の存在は私達にとって小さからぬことではありますが、世の中には国とは関係なく起こる事態というものもあるのであって、コロナ禍のような疫病もその一つだと思います。これは言ってみれば自然災害と同じようなものであって、その災害が起こった地域に居合わせた人々は、共にそれに直面していることによって運命共同体であるからです。
もっとも、コロナ禍が広がっている国々で、それを政治利用する動きがあることも事実ですが。