empirestate’s blog

主に政治…というよりは政治「思想」について書いています。

同性婚と日本

総理秘書官の差別発言のせいもあって、岸田首相が、同性婚の法制化について「社会が変わってしまう課題だ」等と述べたことが批判されていました。

 

一部では、同性婚に反対するのは旧統一教会の影響ではないかと思う向きもあるようですが、同性愛への反対自体は統一教会に限らず正統派のキリスト教イスラム教などにも見られることで、むしろ統一教会がそこから借用したものだと言うべきでしょう。

 

なので、キリスト教圏やイスラム教圏では、宗教的に「保守的」な立場の人々が同性婚の法制化に反対していることが多いようです。

 

もっとも、例えばキリスト教圏では、教会としては同性婚を認めないけど、世俗的な存在としての国家ではそれを認めるという形で、一応は住み分けができていると思います。

しかし日本では明文化された教理を持った統一的な宗教組織があまり無いし、あっても社会への影響力がさほどないので、国の法律で同性婚を認めてしまうとそれがそのまま社会を変えてしまう、といった懸念が一部にあるのは、自分としては理解できないわけではないです。

 

台湾はアジアで初めて同性婚を実現しましたが、実は台湾でも異性間の婚姻と法的に完全に等しいというわけではなくて、合法化のあとも課題を残していると言われていました。

台湾でも同性婚の合法化には根強い反対があって、もともと民法上の婚姻は同性婚を想定していないので、民法を改正して同性婚を合法化するか、民法の婚姻とは別に特別法を制定してそこで合法化するかという論争があったと言われます。

そして結局、民法の改正とは別に特別法を制定してそこで同性婚を法制化したので、同性婚は合法ではあるものの、民法上の婚姻と完全には等しくないと言われます。いわば一種の「特別枠」といったところでしょう。(なので、法制化のあとも養子の問題などいくつか法的な問題があったようです)

 

台湾:アジア初の同性婚 20年の道のり : アムネスティ日本 AMNESTY

 

しかしその後も、同性婚に反対する人たちの抵抗は続きました。それまでの台湾には、同性婚を想定した法律がなかったため、同性婚を実現するためには、民法を改正するか、新しい法律をつくるかを選択しなければなりませんでした。そこで、2018年11月に国民投票でそれぞれについて是非が問われることになりました。同性婚賛成派は、民法の婚姻規定で認められるよう改正を望み、民法の婚姻を男女に限定したい反対派は、別の法律で規定すべきと主張。結果は、民法改正が反対多数となり、同性婚は、特別法をつくることで実現されることになりました。

 

民法とは別に特別法で認めるというこの差自体が差別だというのでやはり反対もあったようですが、同性婚への反対がある中ではこれが現実的な落とし所だったのだろうと思います。(それに反対派のほうも、何が何でも反対というのではなく特別法という妥協点を示していたのは一応評価できるところだと思います。)

日本の文化状況は欧米よりは台湾に近いと思うので、日本で法制化するとしたら多分この辺りが落とし所になるんじゃないかと私としては思います。